2005年4月29日 ホーチミンからバスでメコンデルタ最大の町カントーに向かいました。 |
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バスは一番後ろのほぼ3人席に4人目として入れられて身動きならぬままに出発。しかも足元には子犬が2匹いました。。 この子犬たち、どこでも順応するタイプらしく、狭いバスの中をウロチョロ。で、行き着いた先は3列前のわたしのバックパックの上でした。 クラクションをやたらめったら鳴らしつつ爆走するバスの中、不安定なバックパックの上でスヤスヤ眠るお犬様たち。たくましいぞ。 バスに揺られること4時間、途中30分ほど食堂で休憩してカントーに着きました。 さて、カントーはこれで3回目ですが、降ろされたのはこれまで来たことのないバスターミナルです。 バイタクのお兄ちゃんたちに囲まれつつ、行き先を告げるためにホテルの住所を確認しようとモタモタしているわたし。 そこに、ベトナム人女性が近づいてきて話しかけてきました。すると― 「あなた、マユって人?」 ???なんで見ず知らずのベトナム人が私の名前知ってんのー?! 状況が把握できず、ぽかーんとしたわたしの目に飛び込んできたのは、なんと、その女性のかなり後方でホンダにまたがっているハーさんの姿でした。 わたしがカントーに来たのは、いつもボートに乗せてくれる彼女に会うためだったのです。 けれど、今回は急に会いに行って驚かせようと内緒で来たのに、なぜ??? さらに大混乱してきたわたしの口からは「なんで?どうして?すごいよ−−−!!」としか出てきません。 話を聞いてみると、バスでカントーに向かう途中、カントーの手前で後江(ハウザン)という大きなメコン川の支流をフェリーで渡るのですが、 そのフェリーの中でわたしのことを見かけた女性がわたしに見覚えがあったらしく、すぐにそこでハーさんに電話。 電話を受けたハーさんは、その人の話からわたしだとわかったとのことでした。 カントーの通信網、恐るべし、です。 ビックリさせるつもりが、着いて早々こっちが何倍もビックリさせられてしまい、期待以上のものを必ずくれるこの町がまたまた好きになってしまうのでした。
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ハーさんが案内してくれたホテルにチェックインした後で、オウさんも呼んで3人で夜ごはんを食べに行くことになりました。 オウさんはハーさんの幼なじみで仕事仲間。初めて出会ったときも2人は一緒でした。 この2人、実は田口ランディさんのデビュー作『忘れないよ!ベトナム』に出てくる人たちなのです。 わたしは彼女たちと初めて出会った時に、この本をすでに読んでいたにも関わらず、そのことには全く気がついていませんでした。 というのも、本の中でハーさんは「ハイさん」、「オウさん」はベトナム語ではUTと書いて「ウッ」と発音するため、登場人物と繋がらなかったのです。 (このページでは「UTさん」は本にならって「オウさん」で統一しました) 帰国後、この本に出てくるカントーに行ったということで改めて読んでみると、登場人物のハイさんとオウさんはなんともあの2人に似ています。 2回目にカントーに行った時、わたしは疑問を晴らすべく、ちょうど文庫サイズで再販されたこの本を持って会いに行きました。 するとハーさんは、「(この本の)わたしのイラストはイケてなさすぎよー」と言って本を投げ捨てる仕草をしました。 この本のおかげでお客さんが来てくれることもあり、ハーさんのお客さん帳(宿帳のような感想が書かれたもの)にはいくつもこの本に関したメッセー ジが残っていました。 ところが、今回聞いた話では、この本は出版されてからだいぶ経っているために、日本人はもうあまり知らなくて商売がやりにくくなっているとのこと。 いくらこの本に出てるのよと言ってみたところで、不信がって日本人は誰もボートに乗ってくれないということでした。 ハーさんによると、日本人は声をかけてもすぐ逃げてしまって商売相手としては本当に難しいんだそうです。 そういえば、日本人旅行者の間では、お客さん帳もあやしさを見極めるアイテムのひとつとして認識されていますよね。 ハーさんにはあやしさ基準がいくつか重なってしまっているようですが、もしカントーで彼女に声をかけられたら、まずはボートに乗ってみてください。 彼女の誠実な対応とサービス精神で満足度120%のボートトリップが体験できるはずです。(この宣伝の仕方、あやしげですかねぇ。。) わたしも初めて会った時は正直大丈夫かな?と思いました。けれど、ほぼ丸1日一緒にいて彼女の人柄を知り、疑ったことを申し訳なく思いました。 以来、カントーに行く度に、あちこち連れて行ってもらったり、おうちに招待してもらったり、と何から何までお世話になりっぱなしです。 宣伝はまぁこのくらいにして。。(ハーさん、お役目果たしたよー^^) 何が食べたい?と聞かれて、ずばりこれが食べたいと挙げられないわたしにハーさんは「○○食べたことある?」と色々挙げてくれます。 その中で食べたことがなくて気になったものが、”アヒル鍋”。 カントーでしか食べられない鍋ということで、2人の行きつけのお店に行ってみることにしました。 お店はすでに沢山の地元客で大盛況です。座る席を確保するのもやっとでした。しかし、この混み具合からして美味しさの予感! 運ばれてきたのは、スープが入った普通の家庭用鍋、アヒルのお肉、野菜てんこ盛り、ビーフン、インスタント麺、厚揚げ、アヒルの血を固めたもの、などなど。 スープは味噌っぽい味付けがすでについていて、野菜などはそのスープとともにそのまま食べます。 ただし、アヒルのお肉だけは、小さいお皿で出てきたタレにつけて食べるように2人が指南してくれました。 そのタレこそがこの鍋の特長です。 クリーム色でどろどろした糟のような感じのタレからは、酸っぱい匂いがしてきました。まさに発酵食品の匂い。 アヒル肉をこれにつけて食べてみると、初体験の味ですがこれが結構いけるお味。同じ発酵食品のへしこが大好きなわたしの口にはピッタリ合いました。 酸っぱさの後に、唐辛子の辛さがやってきます。あんまりつけると塩辛くて大変なので、野菜やビーフンにはつけないのかも。 具のひとつだったアヒルの血を固めたものも初めてでしたが、臭みもなくツルっとしていて美味しかったです。 日本のおじや感覚で終盤にいただくインスタント麺も味が染みていい具合でした。 カントーに立ち寄られた際には一度お試しあれ。 <行ったお店> VIT NAU CHAO 1/4 Ly Tu Trong Quan Thanh Van
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2005年4月30日 ハーさんのボートに乗せてもらいました。 |
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今日はまだ行ったことのなかった遠い方の水上マーケットに連れて行ってもらうことになりました。 ハーさんとはホテルの前で6時に待ち合わせ。 なのに、わたしが起きたのは5時45分。チェックアウトもしなきゃなのに間に合うわけがありません・・・。 焦って荷物をまとめて、できた!と時計を見たら6時5分。と同時にドアをたたく音が。 ハーさんが心配して部屋まで迎えに来てくれたのでした。 昨日別れたのが遅かったので、彼女によく寝られたか聞いてみると、昨晩は2時過ぎまでお酒で饒舌になった近所のおじさんの話に付き合わされたそう。 なのに、わたしときたら。。あ〜情けない。 朝ごはんは水上マーケットで買うことにして、アイスコーヒーだけ通りがかったごはん屋さんで購入。いざボートへ! ハーさんたちは2人組で仕事をしています。ハーさんがガイド役でもう1人はボートを操縦する人。今回はオウさんのお兄さんであるトンさんが乗っていました。 カントーから行ける主な水上マーケットは2つあって、近い方がカントーから7kmのカイラン、遠い方が20km離れたフンディエンです。 フンディエンへ行く途中でカイランに着きました。 4年ぶりの水上マーケット。何度来ても、目に入ってくる光景には釘づけになります。 船に山積みになっている白っぽくて長い野菜が目に入ったので、「大根だねー」と言うと、ハーさんに「カボチャよ!」と言われてしまいました。 べトナムにも大根はあるのですが、大根と呼ぶのは辛味大根くらいの小さいサイズのものだけで、大きいサイズのものはカボチャの一種なのだそうです。 確かによく見ると白ではなくて薄い黄緑色なのですが、形はどう見ても大根。でも、いくら「日本では大根だよ」と言ってみたところで、ここはベトナムでした。 国が変われば野菜の呼び方も変わるってことでしょうか。味は大根でなくカボチャなのかが気になります。 次にフンディエンに向かいました。 こちらはカイランよりもローカル色が濃くてカフェツアーのボートもいません。商売中の船も小さめのものが多いです。 ちょうどお腹がすいているところに、チェー売りのボートが近づいてきたので呼び止めてもらいました。 チェーというのはベトナムのデザートで、冷たいもの(che lanh)はカキ氷、温かいもの(che nong)はおしるこのようなものです。ビニールに入った小豆の 冷たいチェーと緑豆あんの入ったお団子の温かいチェーを購入しました。日本では○百円取られることを思うと感激のロープライス。なにより、青空の下、 しかもボートの上で食べるベトナムスイーツは格別のおいしさです。 水上マーケットを後にして、大きな流れから脇に入り、細い水路をどんどん進みます。 途中、ボートを降りて、お店が立ち並ぶエリアにハーさんは案内してくれました。 ハーさんにとっては地元、町行く人たちがみんな顔見知りという感じで、あちこちでハーさんに声がかかります。そんな中でたどり着いたのはバナナの お菓子を作っているお店でした。クレープのような生地の上に薄く切ったバナナをすき間なく敷いていきます。それを網に乗せて直火であぶると完成。 お店にいた女性たちはとてもにぎやかで、いろんなことを聞いてきますが、ここでもやはり例にもれず”ベトナム流一人旅の外国人に3つの質問”です。 「恋人はいる?」「いくつ?」「なんで1人でベトナム来たの」 べトナムでは決まりきったようにこれらの質問をされます。他の国では敬遠されがちな質問ばかり。遠慮しない国民性なのでしょうか。 とにかくずけずけ聞いてくるので、「負け犬」と呼ばれる条件ぴったりのわたしには結構ツライものがあったりします。そんなこと、彼女たちはお構いなし。 しまいには、「うちに40の未婚男がいるんだけど、お嫁に来なよー。そしたらカントーにずっといられるよ〜」と言われ、お店の奥にいたその男性がニヤリ。 どこの国でもおばちゃんたちがやることって同じみたいです。 ハーさんとのボートトリップであっという間に時間が経ち、もうバスターミナルに向かわなければならないような時間が来てしまいました。 バスターミナルまでバイクで送ってもらうときに、ハーさんの仕事仲間のライさんと再会しました。ライさんは2人の子供を持つ笑いの絶えないお母さんです。 相変わらずジョークを言っては笑っています。そのライさんが、別れ際に「チャウドックまで長いから」と言って、焼きバナナと焼きイモを持たせてくれました。 「食べて、寝て、食べて、寝てってしてたら着くわよ。気をつけてね。今度来るときは1泊じゃダメ。あんた、いつも1泊なんだから!」 この人たちの温かさに出会えたからこそ、わたしはベトナムにはまってしまったのだと思います。 改めてそう思うと、田口ランディさんの本のタイトルには実感するものがあります。まさにこういう時、出そうになる言葉は『忘れないよ!ベトナム』なのです。
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